その瞬間、ぎゅっと握っていたブレスレットがあたしの手から離れて宙に浮く。

「ありがとう……亜美ちゃん」

ひかりの姿がしだいに見えなくなっていく。

「ひかりっ!?」

ブレスレットはあたしの目の前で、分裂し海へ落ちて行く。

「ひかり! どこにいるのっ!?」

あたしはひかりの姿を探した。

いないの……?

脚の力が抜けて、地面にへなへなと座り込んだところへ、拓磨さんが膝をついてあたしの肩を軽く触れる。

「彼女は君のおかげで成仏したようだよ」

「成仏……?」

「君の彼女を想う真の心が、元の彼女に戻したんだ」

ひかりがこの世にいない。もうあたしの前に、どんな姿でも現れない。

そう考えると、涙がとめどなく流れてきてその場で泣いていた。

「ごめんね。ひか……りっ……わかってあげられなくて……ごめんね……ううっ……うっ……」

あたしが覚えているのはそこまでだった。