『亜美ちゃん、一緒に死のう?』

拓磨さんを見ていたあたしの前にさえぎるようにひかりが立った。

頭から血を流していない、制服姿のごく普通のひかりだ。

「ひかり……」

『ひとりは寂しいの』

悲しそうな瞳を向けるひかりに胸が痛む。

「亜美ちゃん! ブレスレットを捨てて、こっちへ来るんだ! 話をしてはいけない!」

再び拓磨さんの声が聞こえてきた。

拓磨さんはあたしに手が届きそうなところまでが限界で、立ちすくんでいる。

『亜美ちゃんは優しいから……あたしをいつも裏切らなかった』

「ひかり……わかってあげられなくてごめんね」

ひかりに一緒に死のうと言われてから、あたしはそれもいいかも。と、そんな気になり始めていた。

『ここは……暗くて……冷たくて……嫌なところなの。亜美ちゃん、助けて?』

「話をしてはいけない!」

拓磨さんが叫ぶ。

玲奈から神社で唱えたお経のようなものが聞こえる。

ひかりの顔が歪む。

「……いいよ」

あたしは心からそう思って言っていた。