どこへ向かっているのかもわからないまま、夢遊病者のようにあたしは歩いている。
側に翔平や玲奈がいて、必死に止めようとしているけれど、ものすごい力が彼らをはね退けている。
ひかり、苦しみをわかってあげられなくてごめんね。
『モウ……オソイ……』
不意に入ってきたひかりの声だけど、違うような低い声。
「ひかり……」
拓磨さんの言った通り、ひかりは一番なってはいけない霊になってしまっているのだろうか。
「亜美! 止まって! 行っちゃダメっ!」
玲奈の叫び声にあたしは現実に引き戻された。
いつの間にか潮の香りが鼻につき、強い風が吹く場所にあたしは立っていた。
月明かりがいつになく明るく感じる。
そこで足元から唸るような岩肌を打つ波の音が聞こえてきた。
あたしは崖の上にいたのだ。
それもあと2歩も歩けば落ちてしまう場所に。
側に翔平や玲奈がいて、必死に止めようとしているけれど、ものすごい力が彼らをはね退けている。
ひかり、苦しみをわかってあげられなくてごめんね。
『モウ……オソイ……』
不意に入ってきたひかりの声だけど、違うような低い声。
「ひかり……」
拓磨さんの言った通り、ひかりは一番なってはいけない霊になってしまっているのだろうか。
「亜美! 止まって! 行っちゃダメっ!」
玲奈の叫び声にあたしは現実に引き戻された。
いつの間にか潮の香りが鼻につき、強い風が吹く場所にあたしは立っていた。
月明かりがいつになく明るく感じる。
そこで足元から唸るような岩肌を打つ波の音が聞こえてきた。
あたしは崖の上にいたのだ。
それもあと2歩も歩けば落ちてしまう場所に。


