10メートルほど前に懐中電灯の灯りが2つ見える。

その時、シーンと静まり返った暗闇に田島先輩の悲鳴が響いた。

「キャ――ッ!」

「こっちへ来るな!」

今度は小杉だ。

「行こう!」

あたしたちは2つの懐中電灯に向かって駆け出した。

小杉と田島先輩の悲鳴は聞こえてきて、走りながら心臓がこれ以上ないほど暴れてくる。

なにが起こっているの!?

2つの灯りのところまでやって来ると、2人はいなくて懐中電灯だけが地面に転がっていた。

「いない!」

「小杉―! 先輩っ!」

玲奈が声を大きくして2人の名前を呼ぶ。

「健人っ! どこにいるんだ!」

翔平は懐中電灯の灯りで彼らを探している。

「キャ――ッ! 来ないでぇぇぇぇぇ――」

田島先輩の声だった。

「うわーっ!」

すぐに小杉の声も。