目の前に10段ほどの階段が見えてきた。

「あと少しだね」

翔平が先に階段を上り始め、あたしも後から付いて行く。

朱色が取れかけている鳥居が見えてきた。

鳥居の両脇には一対の狛犬。

古そうな狛犬2体は身体の一部がどこかしらかけており、あまり手入れされていない神社だと分かる。

鳥居をくぐり、神社の境内の前までやってきた。

「ここに置いておけばいいか?」

翔平はお賽銭箱の横に偽物のお札を置く。

「うん。風で飛ばされないように大きな石を置いた方がいいよね?」

あたしは足元を見回し、ちょうどいい感じの石を見つけると乗せた。

「確認しながら来たから結構時間がかかっちゃったね。早く帰らなきゃ」

歩きはじめると、右手首を翔平に掴まれる。