「大丈夫? 立てる?」

麻美が手を貸してくれ、よたよたと立ち上がる。

「あ! スマホ!」

ようやくスマホがない事に気づいて辺りを見回すと、玄関の土間に落ちていた。

拾ってくれた麻美がなにやら絶句している。

「亜美ちゃん、壊れちゃったよ」

「えっ!?」

差し出されたスマホを受け取ると、画面が見事に蜘蛛の巣状にヒビが入っていた。

「あああっ……! 最悪……」

酷いありさまのスマホを見て泣きたくなった。

「ふたりともそんなところでなにしてるの?」

ママがあたしたちの後ろに来ていた。

「ママ、亜美ちゃんが階段を踏み外して、スマホが壊れちゃった」

「えっ?」

麻美の説明にママがあたしのスマホを覗き込む。

「酷いわね。もうっ、気をつけないからこういうことになるのよ」

ママはあきれたように言うと、背を向けてキッチンへ行ってしまった。

「ママ怒っちゃったよ」

麻美に言われなくてもわかっているし。

明日から合宿なのに、困ったな。

ママの機嫌を直して、今日中に新しいのを買ってもらわなきゃ。