「兄貴のケーバン。渡してって頼まれたんだ」

ちょうど聞こうと思っていたところだから、びっくりして目が皿のようになる。

「ありがとう」

手渡されたメモを大事にスカートのポケットにしまう。

「絶対に電話してくれって言ってたよ」

「そ、そうなんだ」

玲奈のお兄さんはすべてお見通しなのだろうか。

頼ってしまってもいいのかな……。

『邪魔をしたら殺す』

再び脳裏にあの言葉がよみがえる。

あたしは強く頭を振る。

「大丈夫? 顔色悪いよ?」

「ん……玲奈も霊が見えるの?」

玲奈は辺りを見回してから口を開く。