「ちゃんと点いているわよ」

「えっ? さっき消えたんだよ?」

腑に落ちなくて、顔をしかめる。

「今は大丈夫よ。さ、早くご飯食べちゃいなさい」

そこで、歌番組のスペシャルを思い出した。

洗面所で手を洗いダイニングキッチンへ入ると、お風呂から上がったばかりなのか、首からタオルを下げた妹の麻美(アサミ)がテーブルのイスに座って、歌番組を見ていた。

麻美は高校1年生。麻美は160センチのあたしより5センチ高く、モデルのような体形で姉としては羨ましいスタイル。

「あ、お帰り、亜美ちゃん」

夕食を食べたというのに、麻美はセミロングの髪を拭きながらクッキーを口に運び、テレビを見ている。

画面から目を離さない妹に半ばあきれ顔で、対面キッチンの中へ入った。

食べても太らない体質で、羨ましい。

あたしも太っているわけではないけれど、部活で身体を動かしているから太らないだけで、やめたら肉がすぐにつきそう。

我が家の夕食は早い。

パパが小学校の教諭で、基本的に帰ってくるのが早いせい。

試験の多い中学校や高校の教諭なら帰宅はもっと遅いんだろうな。

肉じゃがと塩サバの焼き魚を食べていると、大好きなアイドルが歌い始めた。

彼がこの後でない事がわかると、食器を片づけてお風呂へ向かった。