でも、ひかりが側にいて、あたしに邪魔しないでと言った。ってことは――

「って、お、おい!」

2人はあと数歩で川に落ちそうなところまで近づいていた。

さすがに翔平もおかしいと思ったのだろう。

翔平は地面をけり、彼らに向かって全速力で駆け出した。

「なにしてんだよ!」

翔平が手をつなぐ2人の後ろからタックルするように抱きつき引っ張る。

ドサッ!

翔平の上に彼らが人形のように倒れる。

「っ! いてぇ……」

「翔平! 大丈夫っ!?」

小杉と彼女は目を閉じたまま動かない。

その下から2人の身体を押しのけるようにして、翔平が起き上がる。

「なんでこいつら目を開けないんだ? おい、小杉!」

スマホの明かりのもと、小杉が2人を起こそうと揺さぶっているけれど、あたしの目は彼女の頭の上に立つひかりだった。

『亜美ちゃんは私の味方じゃないの……?』

寂しそうなひかりはあたしに訳の分からない言葉を残し、スーッと消えた。