花火大会が終わり、今までいたたくさんの人はしだいに減っていく。

あたしたちは今行っても混んでいるだけだからと、その場に残って話をしていた。

「あれ? 亜美っ」

その声に顔を向けると、玲奈がいた。

その隣には大学生っぽい雰囲気の男子がいる。

「玲奈も来ていたんだ」

「うん。来るつもりはなかったんだけどね。兄貴が行こうって。あ、紹介するね。3つ上の大学生で、兄の拓磨よ」

細身で背の高いメガネをかけたお兄さんだ。

お兄さんはあたしたちに軽く頭を下げる。

シルバーフレームの向こうの瞳は黒曜石のように黒く、なんだか怖いと思ってしまった。

「君が亜美ちゃん? 妹がお世話になっています」

「こ、こちらこそ」

そうだ、翔平が言っていた玲奈の霊感があるお兄さんだ。

瞳の奥でなにかを見ているような、そんな瞳であたしを見ていた拓磨さんはフッと顔を緩ませる。