ぞわっと腕に鳥肌がたった時、玄関の蛍光灯がパッと点いた。

うわっ、今のはなに?

たしかに肩を叩かれた感触だった。

そう考えると、鳥肌は消えることなく私はぶるっと震え、慌てて玄関の中へ入る。

「ただいまっ!」

玄関に入ってドアを閉めると、ちょうどママがリビングから出てきたところだった。

ママの姿を見てホッと安堵する。

今のは気のせいだ。絶対に気のせいっ。

「亜美、お帰り。遅かったのね?」

廊下にラケットバッグを置いた私にママが声をかけてくる。

「うん。コート整備があったから。あ~疲れた! あ、ママ。玄関の蛍光灯、切れそうだよ」

「え? 昨日替えたばかりよ」

「でも、暗くなったり、点いたりしていたよ?」

ママは不思議そうに首を傾げながら、「接触が悪いのかしらね」と言いながら、玄関の外に出た。

「あら、本当だわ」と言う言葉を待つあたしに、戻ってきたママは口元を歪ませムッとした顔をしている。