全員集合で、待ち合わせの駅から移動。

「浴衣っていいな。俺も来年は浴衣にしようか」

車内はこれから花火大会に向かうカップルや家族連れが多い。

浴衣のカップルを見てそう思ったみたい。

翔平は少し袖丈が短めの紺色のポロシャツに、七分丈のカーキ色のパンツ。足元はスニーカー。

翔平はやんちゃ系の服装が多い。

でも身長があるし、いわゆるソフトマッチョ体系。

顔も整っているからスーツみたいなかっちりした服を着ても良く似合うに違いない。

「来年は受験勉強で時間がないかもよ?」

「夏の醍醐味ぐらいは時間作る。亜美もそうだよな?」

「たしかに。それくらいは息抜きしたいもんね」

「今日の亜美、ほんとかわいいよ」

「今日の亜美って、いつもは可愛くないんだ?」

褒められて頬が熱くなるのを隠すように、冗談交じりにすねてみせると、翔平は慌てて否定した。

それは近くにいる人の注目を浴びるほどで、みのりたちに「なにいちゃついてんのー?」と言われる始末。