無事に帯を結んでもらい、支度を終えたあたしは駅に向かった。

翔平たち、男子は全員来ていて、女子はあとみのりだけのよう。

「伊藤、かわいいじゃん」

そう言ってくれたのは、翔平ではなくて、みのりのお目当ての木下君だ。

「あー! くそっ! 先に言われた」

翔平の肩を落としてへこむ仕草にあたしやみんなが笑う。

お祭り気分でにぎやかだ。

あたしの浴衣は黒地にピンクのバラがあしらってある現代風のもの。

去年、ひかりと一緒に新調した。

ひかりの浴衣は白地にピンクのバラ。

ふたりで気に入った色違いの浴衣だった。

ひかり……。

原因がわからないひかりの復讐はこれで終わったのだと思いたい。

そこへ白地に金魚模様のみのりがやって来た。

木下君を見て、いつものみのりらしくなく、恥ずかしそうな……恥じらうような表情。

木下君も可愛らしいみのりを見直したみたいに見える。