「亜美が探していた記事はこの事なのか?」

「えっ!? ち、違うよ。いくらなんでも夜中あったばかりの事件を探すわけないでしょ?」

「そりゃそうだな」

パパは笑うと、新聞を読み始めた。

「亜美、席について、早く食べちゃいなさい。麻美はまだ寝ているの?」

あたしの席のランチョンマットにオレンジジュースとトーストが置かれる。

「うん」

食べ物を目の前にしても心ここにあらずで、どうしてあの少年をひかりは殺したのか考えていた。

「亜美? どうしたの? 熱でもあるんじゃないの?」

不意にあたしの額にママの手が触れる。

「熱なんてないよ」

「そうねぇ。なさそうだわ。ぼんやりしているから、部活で疲れてるんじゃないの?」

「そんなことないよ。ちょっと考え事をしていたの」

ぶっきらぼうに言うと、トーストにマーガリンとジャムを塗った。