翌朝、パパがテーブルで読んでいる新聞を「ちょっと見せて!」と横取りする。

「あ、おいおい」

あたしに新聞を取られても怒らないパパはやれやれとコーヒーを飲む。

床の上に新聞を開き、見ていくと探している記事が見当たらない。

少年の事故……事故……ない……。

あれは夢だったのかな……。

「亜美、なにを探しているんだ?」

新聞を返してほしいパパはあたしの背後から覗き込んでいる。

「暴走族の事故の記事なんだけど」

「いつ頃だ?」

「えーっと……たしか夜中の1時――!」

『少年が見るも無残な死に方をした現場です!』

あたしの耳にテレビからアナウンサーの声が聞こえてきた。

ぎくりと肩が跳ね、テレビへ振り返る。