麻美の部屋を出て、自分のベッドで寝ていたなんて……。

「亜美ちゃん?」

心配そうな声にハッとなる。

「えっ? う、ううん。大丈夫だから、起こさないで」

「わかった。水、持ってくるから」

「ありがとう」

麻美が部屋を出ると、汗でびっしょりのTシャツが気持ち悪くて、ベッドから立ち上がった。

タンスに手をかけると、ぎくりと動きが止まる。

あたしの左手首にひかりのブレスレットがあったのだ。

人が死ぬ夢を見るたびに天然石はどす黒く、それでいて艶を帯びてくる気がする。

あのバイクの少年は、うちの生徒?

どうしてひかりはあんな夢を見させるの?

まだ心臓は長距離のマラソンを走った時のように暴れている。

「亜美ちゃん?」

麻美が水の入ったコップを持って近づいてくる。