ちょっと、勝手に私の机の上に侵入してくんな!!
私は両手で机の上にのっかった腕をぐぐぐっと押してどかそうとした。
「なんだよ」
吉井は、私の力に対抗してぐぐぐっともっと机の真ん中まで、
侵入してきやがった。
「ちょっと、腕邪魔なんですけど!」
どかせってんだ、こらっ。
ぐぐぐっとまた押すと、吉井は腕を一度下して、
今度は、椅子に後ろ向きに座って、
両腕を私の机の上にのせた。
「はっ、はあ?????」
そして両腕をのせたまま、私の顔を下から覗き込んできた。
へっ
前髪の隙間から見える、大きな瞳で、
じっと見つめられた。
こ、こいつ、超整った綺麗な顔してる……
真剣な顔で見つめられたと思ったら、
急にくしゃっと笑いだして、ドキッとした。
なっ、なんで今笑ったんだよ。
なんだよ、
なんで、私を見て笑うんだよ。
勝手にドキドキしている心臓の動きが、
自分でもよくわからない。
「ここまで、俺の範囲」
吉井は私の机の半分の位置を、
手で差した。
「か、勝手に決めんな。これは私の机だし」
「俺が決めた、お前の意見は聞かない」
「は、はあ???」
訳、わかんねぇぇぇぇーーーー!!!
むしゃくしゃして、自分のぱっつん前髪を、両手でくしゃくしゃっとしたら、
その腕を掴まれて、止められた。
なぜ掴む
なぜ止める
前髪から手を離したら、
吉井が私の腕から手を離して、
バラバラになった私の前髪に、長い指を伸ばした。
「お前、いい奴なんだな」
そう言って私の前髪に指を通して、
前髪を直し始めた。
心臓が壊れる
顔面が爆発する
なんだこの、
胸がくすぐったい感じは……
やめろ、
やめろって……
その手を、離せっ……
私は吉井の腕をぱしっと払った。
「さっ、さわるな!!バカ!!」



