吉井の手が温かくて、
大きくて.......
恥ずかしくなって、吉井の手の下から、
自分の手を引っ張り出した。
「だって.......だってさ、吉井........
部活は?部活はどうすんだよ」
吉井は、バンッと傘を開いた。
「もう、ほとんど引退しているようなもんだから。
明日で部活に出るのも終わりにしようと思ってたし。
別にいいんだよ。
ほら、行くぞ」
吉井が私の頭の上に傘を差してきた。
そうなんだ……
ちらっと横目で見られて、
目が合った瞬間、ぱっと目をそらしてしまい、
下を向いたまま、
ゆっくりと一緒に歩き出した。
傘にあたる雨の音が、
やけに大きく感じる。
なんで私と帰るんだろう。
なんで私の傘の中で帰るんだろう。
なんでこんなに、私に構うんだろう......
頭の中がなんで?でいっぱいで、
でもそれを聞き出すことができなかった。
はっきりと答えを聞くのが怖かったんだ。
別に、友達じゃん......みたいな答えが返ってくるのが、
想像できて、それを言われるのが怖かったんだ。
いつもそうだった。
仲良くなって、いいなって思った男子は、
みんな私を女子として見ていなかった。
私は恋愛対象外の女なんだ。
別にそれでもいいやって、
彼氏なんかいらないし、
女友達といる方が楽しいしって、
ずっと思ってきたのに、
なぜか吉井は、
吉井にだけは、
それでもいいやって、思えない自分がいるから.........
だから、
はっきりと吉井の気持ちを聞くのが、
怖かったんだ。



