動くなって????えっ????
ていうか、部活は???
何考えてんだよ吉井........
そんな途中で抜けるなんて、ダメだよ。
やばい、逃げよう。
ここに私がいなければ、吉井はきっと部活に戻る。
うん、そうしよう。
私は自分に何度も頷いてから、
下駄箱に行き、靴に履き替え、
傘立てから傘を引っこ抜いて外に出た。
灰色の空から激しく降る雨を見て、
やっぱり吉井のことを考えてしまい、
傘を開くのを躊躇してしまった。
吉井は傘を持っていない。
あ.......でもさ、傘の中に吉井を入れてくれる人なんて、
いっぱいいるじゃん。
バスケを見学していた女子たちなんて、
喜んで傘を差しだすはず。
そうだ、私じゃなくてもよかったんだ。
何勝手に心配なんかして.......
地面をはじく雨の雫たちを見つめた。
帰ろう。
そう思って傘を開くボタンに指をかけた時、
その手を上からぎゅっと、大きな手で握られて、
びっくりして隣を見上げた。
「ったく、動くなって言っただろ」



