君のせい






次の日の休み時間


トイレに行こうと廊下に出たら、


宇崎さんが私の前を歩いていて、



いきなり、目の前でこけた。




「えっ、えええ???」




あまりにも突然で、

あまりにも見事なこけっぷりで、


私は思わず駆け寄って、宇崎さんの前にしゃがみこんだ。



「大丈夫?」




床に手をついて下を向いていた宇崎さんが、


顔を上げて私と目が合った。



「あ......ありがとう」


うわ......ほんとだ、めっちゃかわいい顔してる。



私は腕を掴んで、宇崎さんを立たせてあげた。




私よりもずっと背が小さくて華奢なのに、


出るとこは出てそうで。


ふわふわとした栗色の長い髪、

大きな黒目がちの瞳


長い睫毛



......これが同じ女なのか。



実に不公平だ。




「また、宇崎さんこけて男の気をひいてるじゃん」


「わざとらしっ」



「あざとい女」






えっ.........



そんな声が聞こえてきて、周りを見回すと、


女たちが、こそこそとしているのが見えた。





マジか.......宇崎さんってこんなに女から嫌われてんのか。



宇崎さんは、私から腕を引っ張って離した。





「ごめんね」





宇崎さんは、走って教室に戻ってしまった。




なんで謝んの?



なんも、悪い事なんかしてないのに。




あんな見事なこけ方、わざとじゃないだろうに。





あっ、やべ、漏れる。




私は周りの女たちを少し睨んでから、



トイレへと走った。