とりあえず、体育館に行ってみようと、
校舎と体育館を繋ぐ渡り廊下まで来たんだけど、
中を覗く勇気がなくて立ち止まった。
どうしよう、
やっぱ声かけることなんてできない。
ザーッと渡り廊下の屋根に当たる雨の音。
立ち止まっていたら、
校舎の方から話し声が聞こえてきて、
思わず振り返った。
「吉井先輩今日もいるかな」
「もうすぐ引退しちゃうよね.......
うちの高校、進学校だから」
「もう3年生、部長の吉井先輩しかいないしね」
3人の女子たちが、吉井のことを話しながら、
体育館の方へと歩いて行って、
ドアのところから、中を覗き込んだ。
体育館の出入り口をよく見ると、
見学している女子たちが他にも見えた。
吉井って部長だったんだ。
吉井ってやっぱ.........もてるんだ。
そうだよね、かっこいいし。
背も高くて、あんなに整った顔してて、
バスケ部の部長だなんて、
そりゃモテるだろうよ。
でももう、部活引退するんだ。
部活中の吉井を、もう見ることができなくなるんだ。
見たいな……
もう見れなくなるなら、
一度だけでも、やっぱ見たい。
私は、ゆっくりと体育館に近づいて、
見学している女子たちの隙間から、
中を覗いた。



