わかったって、
私の何をわかったっていうんだよ。
何もわかってない。
吉井は私のこと、
私の気持ちを......わかってない、
校舎に入り、なんとなく吉井と距離を取って歩き、
吉井の後から教室に入ると、
入ってすぐの自分の席に座った。
目の前にドカッと座った吉井の背中が、
気になって
気になって.........
少し動いただけで、ドキッとして
少し横顔見えただけで、ドキドキして
授業中、
気づくとずっと大きな広い背中を見つめてしまっていた。
雨はしだいに強くなり、
帰りのHRの頃には、雨の音が教室にも聞こえてくるぐらい、
強く降り出していた。
止まないな........
放課後になり、吉井はバッグを肩にかけて、
教室から出て行ってしまった。
朝はあんなに一緒にいたのに、
それからは、全然話さなかった。
今日は後ろを振り返ることもなかった。
こっちを見ることもなかった。
なんか
なんか........さみしい。
「麻琴、帰ろ」
春奈と綾香が私の席のところにきた。
「うん」
でも、日曜日は会えるし.......
そう思いながら、リュックを背負い、
教室を出た。
階段を下り、下駄箱で靴に履き替え、昇降口から外に出ると、
思ったよりも強く降っている雨を見て、
傘を差すのをやめた。
だって、こんなに強い雨
止みそうにない。
吉井はどうやって帰るんだよ.........
「麻琴?」
雨の中、傘を差してこっちを振り向いている春奈と綾香。
「ごめん、私.......忘れ物した」
春奈と綾香は目を見合わせてから、またこっちを向いた。
「また?」
「うん、ごめん、先帰ってて」
首を傾げている春奈と綾香に軽く手を振って、
また傘立てに傘を突っ込んで、
上履きに履き替えた。



