そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】


「いやいや、この新入社員の鈴音ちゃんが軽~く壊してくれたんだよ。開けるのに苦労してたから丁度良かった」

「新入社員?」


白ポチャとヒョロ黒が顔を見合わせニタ~と笑った。


「じゃあ、歓迎会しないといけませんねー!ドアも壊れた事ですし、今日の仕事は昼までという事で……ご飯食べに行きましょうよ!!」

「そうそう!社長、パァ~っと行きましょうよー」

「だな、行っちゃう?」

「行っちゃう!行っちゃう!」


なんだ……このいい加減な会社は?……大丈夫か?


「試作品はいいんですか?」


一応、心配して聞いたのに…


「どこ行く?」

「やっぱ、肉でしょ?」

「おぉ!!肉いいねぇ~」


完全スルーかよ!!コイツらにもう何を言っても無駄のようだ……


てなワケで、会社近くの焼き肉屋とやらに連れて行かれた。島にはそんな店なんてない。てか、店というモノなんてなかった。皆、自給自足で生活してたから……


緊張して落ち着かない私の前に社長が何やら紙を広げ「好きなモノ注文して」と言うからその紙を覗き込むと……


ロース?カルビ?ハラミ?塩タン?何語だこれ?さっぱり分からん!


意味が分からず眉を顰めると、白ポチャが「鈴音ちゃんは、何肉が好き?」と聞いてきた。


「イノシシ」

「はぁ?」

「当然、肉と言ったらイノシシでしょ?イノブタでもいいですよ」


聞かれたから正直に答えただけなのに、眼の前の白ポチャとヒョロ黒の顔が引きつってる。この二人、イノシシやイノブタは嫌いなのかな?


「じゃあ、うさぎで……」