そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】


「私が付いています……」

「あ……」


気付けば私は彼の腕の中にいた。驚きと戸惑いで微動だにせずイケメン弁護士の顔を見上げる。


でも、優しく抱き締められると不思議なことに強張った体の力が抜け心地いい感覚が全身に広がっていく……


広い胸はとても温かくまるでホカホカの布団に包まれているよう。


男の人の胸って、こんななんだ……


男性に抱き締められたのは初めてのはずなのに、この懐かしさと安心感はなんなんだろう?


ずっとこのまま抱かれていたい……そんな思いが沸々と湧き上がってきて、堪らず彼の胸に頬を押し当て背中に手をまわす。


さっきまで胡散臭い人だと思っていたことなどすっかり忘れ、彼が側に居てくれるなら一生インチキ占い師でもいいかな……なんて、思いっきり雰囲気に流されていると……


「大丈夫。この衣装は脱ぎ着しやすいようにマジックテープで留めるように出来てますから。5分もあれば着られますよ」

「へっ?」


おいおい……そっちかよ?てか、そんなしょーもないことで抱き締めたワケ?


イケメン弁護士の行動パターンがてんで読めない。


「さあ、もうそろそろお客様がお見えになる時間です。用意をお願いします」


なんだか完全にシラけムードだ。


「はいはい。了解です」


彼から体を離し半分ヤケクソで返事をすると十二単を羽織りカツラを被って水晶玉の前に座った。


「で、今日は誰を占うんですか?」