ユミちゃんに気付かれないようにコッソリ部屋を抜け出し、階段を下りて薄暗い喫茶店の扉を開ける。
外に出ると大きな深呼吸をして多摩雄のおっちゃんに電話をした。
『おや、姫、何かありましたか?』
「うん、多摩雄のおっちゃんに頼みがあって……」
単刀直入にユウキに会わせて欲しいと言うと、おっちゃんは『う~ん……』とうなり口籠る。
それでもしつこく食い下がること数分。やっとおっちゃんの許しが出て迎えの車をよこしてくれると言ってくれた。
暫くすると黒塗りのドイツ車が喫茶店の前に横付けされ、助手席から降りて来たイカツイ兄ちゃんが素早く後部座席のドアを開け、私に深々とお時儀をする。
「あ、どもども、すみません」
恐縮しながら後部座席に乗り込むと、多摩雄のおっちゃんが困惑した顔で私に頭を下げている。
「おっちゃん、無理言ってごめんね。で、ユウキは?」
「アイツは組の事務所に居ます。今からご案内します。しかし、アイツになんの用ですか?」
「それは……」
私は警備員のおっちゃんに聞いた話しをして、どうしても彼女をユウキに会わせてあげたいと訴えた。
「なるほどね……アイツも罪作りな男だ。でもギリギリセーフでしたよ。明日でしたらもうアイツはここには居なかった」
「えっ?どういうこと?」
「太一郎さん達と話し合った結果、ユウキは都払いになりましたので……」
「みやこばらい?なんですか?ソレ?」
「東京から追放ってことですよ。二度と再びユウキが東京の地を踏むことは許されない。それがアイツに下された罰です。
明日の朝には、強制的に東京を出されることになってたんですよ」



