そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】


喫茶店に帰ると、私はすぐに荷物の整理を始めた。


ここに来た時は風呂敷包み一つだったのに、いつの間にか荷物が増え風呂敷に納まり切らなくなってる。


どうしよう……やっぱ、ユミちゃんが持ってる様なコロコロバックがないとダメかなぁ……


でも、あのコロコロバックどこに売ってるんだろう?ユミちゃんに聞いてもいいけど、怪しまれるとマズい。ユミちゃんに言ったら陸さんにバレるかもしれないし……


どこから漏れるか分からないからギリギリまで誰にも言わない方がいいよね。


あっ!そう言えば、陸さんが入院してる病院の近くのセレクトショップにそれらしいバックが売ってたような気がする。明日の朝、見に行ってみよう。


そして用意が出来次第、ここを出て島へ帰る。


なるべく早い方がいい……だって、陸さんの顔を見てしまったら、自分の気持ちが変り、彼と離れたくないと思ってしまいそうで怖かったんだもん。


ため息混じりに散乱している服をたたんでいると、バックから飛び出し床に転がっていたスマホが震える。


もしかして……と思いスマホを拾い上げると、予想通りの名前が表示されていた。


「陸さん……」


スマホを持つ手が震えこの電話に出るべきか悩む。


どうしよう……


ついさっき決心したばかりなのに心が揺れ、陸さんの声が聞きたいと思ってしまう弱い私。


最後だもんね……島に帰ればもう二度と陸さんの声を聞くことはない。最後にもう一度だけ陸さんの声を聞くくらいいいよね?


自分勝手な理由をつけ電話に出ると、陸さんの怒鳴り声が聞こえてきた。


『おい!何やってんだ?急に来なくなったから心配して何度もラインしたのに既読になんねーし、どうしたんだよ?』


陸さん……


彼の声を聞いただけで、泣きそうになる。