そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】


「いえ、私の母親は自由奔放な人ですから、別々に暮らしている方が楽なんですよ」


えっ……別々に暮らしてる方が楽?それって、イケメン弁護士のお母さんは生きてるってこと?


「で、でも、たまには会ってるんでしょ?」


声の震えを隠そうと無理矢理笑顔を作る。でも、上手く笑えているのか分からないくらい私は動揺していた。


「えぇ、しかし、ここ数ヶ月は会ってませんね。たまに電話で話すくらいです」


あ……


私の微かな希望が木端微塵に砕け散った瞬間だった……


イケメン弁護士のお母さんは生きてる。彼のお母さんは久美さんで、妹は菜月ちゃんなんだ。


そして、私と陸さんは兄妹。陸さんは、私の……お兄ちゃん。


頭の中が真っ白になり、目の前のイケメン弁護士の顔が霞む。


「鈴音さん?どうしました?」


彼の声がどんどん小さくなり、意識が薄れていく……


「おい!鈴音?どうした?すず……ね」




―――私は夢を見ていた。


あの夏の夢を……


私と菜月ちゃんと陸さんとイケメン弁護士が波打ち際で遊んでいる。


すると陸さんが近付いて来て、あの優しい笑顔で私に言ったんだ。


『鈴音、会いたかった。俺が鈴音のお兄ちゃんだ』


違う!違うよー!陸さんは私のお兄ちゃんなんかじゃない!


「違うーーー!!」


叫びながら飛び起きると見慣れない景色。どうやらここは病室のようで、イケメン弁護士がベットの横に座り難しい顔をして腕組してる。


「何が違うのですか?」

「……弁護士先生」

「急に意識を失ったので心配しましたが、過労のようですね。陸の付き添いで疲れてたんでしょう。気分はどうですか?」


気分は最悪だったけど、小声で「大丈夫です」と答えた。