そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】


ばあちゃんとトメキチじいちゃんは昔から仲が悪かったから、ばあちゃんはお父さんとお母さんが付き合うことを嫌がっていた。


それでもお母さんは強引にお父さんの行ってた高校を受験してしまい合格の連絡があった日、とうとう二人は大喧嘩になってしまった。


ばあちゃんはその高校に行くなら親子の縁を切ると言い、お母さんはそれでもお父さんの居る高校に行くと言って家を飛び出した。


港には丁度、巡航船が停泊していて、お母さんは迷うことなく船に乗り、島を離れお父さんの待つ東京に行ってしまったそうだ。


それ以来、お母さんとばあちゃんは絶縁状態になり、何年も音信不通だった……


だからお母さんとお父さんが結婚したのも、お兄ちゃんが産まれたのもばあちゃんは知らなかったみたい。


そんな時、悲劇がお母さんとお父さんを襲う。


休日に友人と釣りに出掛けたお父さんが交通事故で亡くなってしまった……


「事故……」

「突然のことで、驚いた琴音ちゃんは半狂乱みたいになっちゃって、大変だったみたいだよ。そして、琴音ちゃんのお腹の中には、鈴音ちゃん……君が居たんだ」

「私が……」


じゃあ、お父さんは私と一度も会うことなく死んじゃったんだ……


「それでね、お父さんの葬式をする為に琴音ちゃんは島に帰って、久しぶりに静香さんに再会したんだよ。

初めはぎこちない雰囲気だったけど、孫が可愛かったんだろうね。静香さんは琴音ちゃんを許し、これからは島で一緒に暮らそうと、琴音ちゃん達の面倒見てたそうなんだけど……」


そこまで言うと社長の表情が曇り、言いにくそうに下を向く。


「社長、隠さないで。いいから言って……」

「うん……鈴音ちゃんが無事産まれて生活が落ち着いてきた頃、琴音ちゃんが突然東京に戻るって言い出したんだよ」