そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】


「驚きました……まさか鈴音さんがそこまでご存じだったとは……」

「どうしてそのこと、私に隠してたんですか?」

「隠していた訳じゃありませんよ。鈴音さんはまだ小さかったから、あの時のことは覚えてないと思ってました」


私は「とんでもない!」と言って首を振る。


忘れるなんて出来ない。私にとって菜月ちゃんと過ごした数日は、かけがえのない大切な思い出なんだから。


「懐かしいですね……」


イケメン弁護士が遠い記憶を繙(ひもと)くように静かに話し出す。


「私達は祖父に会う為、平島に行ったのです。あの頃の鈴音さんは真っ黒に日焼けして、とても活発で元気な少女でした……

そんな可愛い鈴音さんに興味を持った私は、もっと話しがしたいと思った。でも、あなたは私や陸のことなど無視して菜月とばかり話していた」

「えっ?そうだったの?」

「はい。でも、平島はとても楽しかった」


イケメン弁護士のこんな穏やかな顔、初めて見たような気がする。


「ってことは、弁護士先生も陸さんも、平島に関係してたってことですよね」

「まぁ、そうですが……親が島出身というだけで、生まれ育ったのは東京です。実際、島に行ったのはあれ一度きりです」


だよね。あれ以来、会ってないもん。


「あ、それで、菜月ちゃんはどうしてるの?元気にしてるんですか?」


もしかしたら菜月ちゃんに会えるんじゃないかと胸踊らせ聞いたが、菜月ちゃんは日本には居ないらしい。


「菜月は今、アメリカのラスベガスでショーのダンサーをしています。菜月は自分の夢を叶えたのですよ」

「アメリカでダンサー?」


なんだか意外だな。でも自分の夢を叶えるなんて凄いな……菜月ちゃん。