「それは……私の口からは言えません。たとえいとこでも、このことは陸のプライベートに関することです。陸に許可なくむやみに口外することは出来ません。
でも、それを鈴音さんが知った時、あなたが悲しむ姿を見たくないのです。関係が深くなる前に別れた方がいい」
イケメン弁護士の話しを聞き、何かえたいの知れない恐怖を感じた。
陸さんが私に秘密にしてることって、なんだろう?
けど、そんなこと言われても、好きなものは好き。陸さんを諦めるなんて出来ない。イケメン弁護士は簡単に言ってくれるけど、本気で好きになった人と別れるってことがどれほど辛いか……彼は分かってない。
「弁護士先生は、本気で人を好きになったこと……ないんですか?」
「んっ?」
「自分より大切だと思った人、居なかったんですか?」
彼から返事が返ってきたのは、短い沈黙の後。
「……大切な人なら、居ますよ」
「じゃあ、その人と理由も分からず今すぐ別れろと言われたら……どんな気持ちになりますか?」
「なるほどね……」
そう言ったイケメン弁護士がフッと笑う。
「鈴音さんが言う大切な人と、私が想う大切な人は、ちょっと違いますから……」
「違うって?」
「私が大切だと言ったのは、恋人ではありません。……家族……その中でも妹でしょうか……」
"妹"という言葉が彼の口から出た瞬間、私はある人物の名前が頭に浮かんだ。
「妹って、もしかして……菜月ちゃんのこと……?」
「えっ?」
珍しくイケメン弁護士が本気で驚いてる。
「……菜月のこと、覚えているんですか?」
「はい、私が子供の頃、平島に遊びに来た女の子です。その時、一緒に居た男の子は、陸さんと、弁護士先生……あなたですよね?」



