そこから先は、甘くて妖しいでんじゃらすゾーン。【完】


「俺の親父は、俺がガキの頃に自動車事故で死んだ。母親とは一緒に暮らしてたけど、病気で呆気なくで死んだよ。兄弟は妹が一人居る」

「そ、そう……ごめんね。嫌なこと聞いちゃって……」


やっぱり聞くんじゃなかったと後悔しきり。


でも陸さんは「別にかまわないさ」って、平然と笑ってる。


もう家族のことを聞くのはよそうと思ったけど、かまわないと言うなら是非、聞きたい。


「じゃあ、家族は妹さんだけなんだね?たった一人の妹なら可愛いでしょ?」

「妹か……」


なぜかそう言ったっきり話すのをやめてしまい窓の外に視線を移し遠い目をしてる。


「陸さん?」

「んっ?あぁ、そうだな。可愛い妹だ……」

「いいなぁ~私は、ずーっと一人っ子だと思ってたから、お兄ちゃんが居るって知った時は凄く嬉しかった。でも、そのお兄ちゃんには避けられて未だに会えてないけど……」


苦笑いして下を向く私の頭をクシャクシャと撫で、陸さんがニッコリ笑う。


「俺が居るだろ?」

「……うん、そうだね。私には、陸さんが居る……」


陸さんが居れば寂しくなんかない。……て、幸せに浸っていたのに、スマホの呼び出し音がそれを邪魔する。


「あ、弁護士先生だ。なんだろう?はい、もしもし……」

『鈴音さん、今、一階の待合室に居ます。下りて来てくれませんか?』


えっ?待合室?どうしてここに来ないんだろう?


不思議に思いながら「今すぐですか?」と聞いてみたら「はい」って返事が返ってきて電話が切れた。


「ちょっ……弁護士先生?」


私の返事も聞かないで切っちゃった。もぉ~自分勝手なんだから~