「こんな時間まで何してた!!」
薄暗い店内に怒号が響き渡り私の体は壁に押し付けられていた。
胸ぐらを掴まれ苦しくて息が出来ない―――
「……陸……さん」
間近に迫った彼の顔は怒りに歪み目は真っ赤に充血して血走っている。こんな怖い陸さん今まで見たことない。
その迫力に言いようのない恐怖を感じた私の体は硬直し、脈打つたび全身が心臓になったみたいにドキンドキンと振動する。
「勝手なことしやがって……フラフラしてんじゃねーぞ!!」
えっ……?
その言葉を聞いたとたん恐怖が怒りに変わった。
フラフラって……何言ってんの?私を車から降ろして居なくなっちゃったのは陸さんじゃない!!
そう言いたかったけど、苦しくて声が出ない。だから精一杯の抵抗のつもりで陸さんを睨み付けたんだ。
「なんだ……その目は?」
どうやら私の反抗的な態度が火に油を注いでしまった様で、怒りに震えた彼の手が更に強く襟を締め付ける。そして、もう片方の腕が高く振り上げられた。
叩かれる……
咄嗟にそう感じた私は反射的に目を硬く閉じ歯を食いしばる。
けど……いつまで待っても陸さんは動かない。変に思い薄っすら目を開けてみると……
「……心配したんだぞ……」
あ……
彼の掠れた声が耳に届いた瞬間、広い胸に引き寄せられ強く抱き締められた。
「またお前になんかあったんじゃないかって、心配で……心配で……」
「陸さん……」
「腹が立ってお前を車から降ろした後、ヤバいと思って戻ったんだよ。でもお前の姿は無かった。必死で探したが、とうとう見つけられなかった。
もしかしてここに戻ってるんじゃないかと思って帰って来たけど、お前は居なくて……」
陸さん、震えてる……
「―――お前にもしものことがあったら……俺は……」



