【新】俺様社長の溺愛

今日も、目が回るほどの忙しさで、あちこち走り回っていた。

・・・そんな時でも、

たまに見かける愛海の姿を発見しただけで、

心が休まる自分がいる事に気が付いた。


「…社長、なんだか、穏やかになりましたよね」

突然、横を歩いている西島が呟く。


「そうか?オレは今まで通り、何も変わっちゃいない」

言葉ではそう言っていたが、自分でもわかっていた。


…こんなにも、穏やかに、愛海を見守る自分が、

…こんなにも、毎日が楽しいと思える日が、来るとは思わなかった。


…兄妹で育った俺達が、

恋人になる事はおろか、こうやって結婚し、子供を授かるなんて、

夢のまた夢だと思うと、毎日が憂鬱だった。

こんなにも好きなのに、

兄としてじゃなく、男として、愛海を抱きしめたくても、

出来なかった。…触れてしまえば、兄でいる事が出来ないと分かっていたから、

触れる事すらほとんどしてこなかった。


…それが今では、愛おしい愛海に触れ、抱きしめ、

キスをし、抱いているのだ・・・。

他の誰でもない、愛海をオレだけのモノに。