両親に認められ、何もかもが幸せだった。

生活も順調、恋も順調、そして、復帰した仕事も順調だった。


「エ~?!妊娠してたって?!」

「し~!声が大きいですよ、歩さん」

「あら、ごめん、ごめん」

誰もいなくなった更衣室。

私は歩だけに、こっそり真実を告げた。


…だが、まだ、その相手が誰なのか、言っていない事に気づき、

困惑する。


「そんなに困った顔しないの」

「・・・え?」


「赤ちゃんのお父さんて・・・北条社長…違う?」

「・・・なんで」

「会社で倒れた時の、社長の慌て様・・・

あの時に見せた、カッコいい姿・・・

もう、絶対、社長と、愛海はそう言う関係なんだってわかった」


「・・・黙っててごめんなさい」

「謝る事ないじゃない。私でも、相手が会社の社長だったら、

絶対に人には話せないもの・・・

愛海は何か抱えてる事にも気づいてた。

まさか、恋愛相手が社長だとは思わなかったけどね」