会長の言葉で、何かが回り始める…


…突然、愛海が我が儘を言った事。


…オレを、今まで以上に求めた事。


…朝、突然いなくなった事。


…オレに言った、サヨナラの言葉。


・・・その理由が、一つの答えを導き出す。


「会長、愛海に、何か言いましたね・・・

オレと別れろとか、そう言った類の事を・・・」


静かに、でも低い怒った声で、会長に言い放つ。

…会長は、無言で、静かに頷いた。


バンッ!!

オレはテーブルを両手で叩くと立ち上がった。


「オレや、愛海は、会長の駒じゃない・・・

れっきとした、感情を持った一人の人間です。

あなたの思うようにはさせない・・・

オレの心にあるのは、愛海への愛だけです」


そう言い残し、会長室を出る。

「…自分の立場を考えろ、秀人。

お前はこの北条コンチェルンの社長だぞ。

お前の肩には、何千人の社員の生活が懸かっていると言う事を」