一人かぁ…。
ていうか、なんか曇ってきたし。雨でも降るのかな~。


でも、傘……ないじゃんっ!!


神様~、降りませんように。



そう思いながら、一人寂しく帰っていると、願いが叶わなかったのか…


ポトッ…ポトッ…


「あー、最悪っ」


近くのお寺で雨宿りした。

少し待ってみようかな。



バッグからウォークマンを取り出して、音楽を聞いた。


雨の音で聞こえないから、結構、大音量にした。



20分ぐらい経ったとき、なんか人の気配がした。


誰だろう…。


わたしの前に立ち止まる人が前にいる。


わたしは、ウォークマンをいじっていたから、立ち止まった人の靴だけ見える。


恐る恐る、顔をあげた。



「えっ!!?」


ふと、大きな声が出た。

そして、



「蓮斗先輩…!」


さけんでしまった。

なんでこんな時に会うの。


神様、神様はわざと雨を降らせてくれたの?


嬉しすぎて、すぐイヤホンをとった。


「こんなところで何してるの?」


「あ、傘、忘れてて…。雨宿りしてました…。」


「な~んだ。一人、寂しいだろ?オレが止むまで居てやるよ。」


えええええ!!?

な、なんで!!?

なにこの展開!!



でも、嬉しいなぁ…。


「あ、ありがとうございます」


「莉奈…だったよね?」


「はい。」


「莉奈って、彼氏とかいんの?」


「いや、いないですよ。」


「そっか」


「え、どうしてですか?」


「オレ、お前が………。」



『ザーーーーーーーー』


ん?なにこのタイミング!
車、最低!!!

でも、聞きたくて聞き返した。


「ん?なんか言いました?」



「………。」


無言だった。




5分ぐらい経って、



「実はな、オレお前に一目惚れしたんだ。」


こ、ここで告白?


神様、これは何?


運命?罠?
なんなのよーーーーー!!!


信じることが出来なくて、確かめてみた。


「それ、ほんと?」


「うん、まあな…。ゲーセンで見た時、可愛いなって思って、学校聞いたら、同じだったから、びっくりしたぜ。…嬉しかった……。」


蓮斗先輩は、顔を赤くしていた。


あたしも、赤くなってるのかな。


ってか、嬉しすぎる!!

こんな、出会いってホントにあるんだ!


で、でも、なんて言おうかな。


それで、出た言葉が………


「わたし、好きです。」


言った後に気づいた。


なんで、言ってしまったんだろ。
付き合いたいって思ってる訳ではないはずなのに…。


わたしの、ばかっ!


「おれも。」


え!?声が小さくて聞こえづらかったけど、たしかに今、「おれも。」って言った。


なにこれーーーー!


恋する乙女って、も、もしかしてこれーーー!!?


は、恥ずかしすぎる//


「オレと、付き合ってくんねー?」


言われちゃった。
なんか、この言葉を期待する自分もどこかにいたような気がする。


だからなのか、すごく嬉しい。


蓮斗先輩、こんな私だけど…



「はい、お願いします…」


もう、頭ん中は真っ白。



あたしが、頭を冷静にしたときには、私は彼の胸の中にいた。


これ、ハグされてる…。


うれしいよ………。


耳元で彼は、


「大好きだよ、莉奈」


わたしも、


「大好き、蓮斗」


そう答えていた。


見た目はすごい怖いけど、優しい。そのギャップに惹かれたのかもしれない。でも、このとき、ホントに大好きだって思えた。


まだ、夢の中にでもいるような気分だったけど、それが現実だった。


あたしは、感謝した。

雨、ありがとう。
神様、ありがとう。
そして、麻由香、ありがとう。