「莉奈~、プリクラ撮ろうよ♪」


「えー、この前撮ったじゃん。ま、いっか、サギれるし。」



最近のプリクラは、機械でメイクできたり、目を大きくしたり、足を細くしたりと、かなり自分を美顔、美脚にしてくれる。


『3、2、1、パシャ』


「莉奈、ちょ~可愛い♡」


「麻由香、目、大きすぎっ」


そう言って、ラクガキをしようと移動していたとき…


バンッ


「あ、ごめんなさい。」



莉奈に誰かがぶつかってきた。
とっさに、謝った。


顔を上げると、たばこを吸っている、こわいヤンキーが何人かいた。


「いってぇーなー」


そのメンバーの一人がそう言った。


「ごめんなさい。次からは気をつけます。」


そう言って、ラクガキをしに行こうとしたときに、メンバーの1番えらそうな人が、あたしに近づいてきた。


わっ、あたし殴られる。
思いっきり目をつぶった。



「ごめんな、オレのダチが」



え?え?えーーー?

殴らないの?

なんで、謝るの?



「いや、大丈夫です。すみませんでした。」



何、あの人。こわくない。
むしろ、優しい…。
それに、かっこいい…。


一瞬、わたしの心のどこかで、
ドキッとする自分がいた。



恋愛なんて、あたしはしたことがない。


男子をみて、ドキッとしたことなんて、一度もない。
というか、男子にあまり興味がない方だ。


と、ボーっとしてるとき、
その男が、


「どこの高校?」


と聞いてきた。


「杉野高校です」


「おい、まぢかよ。オレ、杉野高校3年の若菜 蓮斗だぜ。知ってるか?」


えーーーーー?
あの学校一のヤンキーと噂の若菜 蓮斗ってこの人!!??


名前は聞いたことあったけど、学校にあまり来ないから見たことがなかった。


「し、知ってます」


「オレ、有名だからな。アハハハ」


それ、自分で言うか?
アハハハじゃないし…。


「で、お前の名前は?」



「あ、あたしは1年の高橋 莉奈です。」


「へぇ~。よろしくな、莉奈」


い、いきなり呼び捨て?


でも、なんか嬉しい。


『もっと、絡まれたい。』
そう思った。


「こちらこそ、よろしくお願いします」



麻由香のところに戻って何事もなかったかのように、ラクガキをした。


そしてクレープを買って二人で、いつもの分かれ道まで歩いて行った。


「莉奈、また明日ね」


「うん、またね麻由香」



分かれ道で一人になったあたしは、何故か胸が踊って、ハイテンションのまま家に帰った。