数日後…
私は学校の校門の前に立っていた。
私の中は不安でいっぱいだった。
でも私の隣には…
裕二がいた。
だから不安もちょっとだけ取り除かれる。
でもさっきから人の視線が痛い。
それもそのはず、私は卒業式と入学式をやっていないからだ。
約10ヶ月も眠りっぱなしだったんだ。
それを思うと少しゾッとする。
私にすれば一瞬だったのが裕二には10ヶ月という歳月が流れていた。
私が一瞬だとそう思ったのはあの白い白い思い出の世界のせいかな?とか思ったりはした。
裕二は私のことをどれだけ心配していたか、顔を見ればすぐにわかった。
だから、私も…私も早く記憶を取り戻したい。そう思った。
クラスは裕二と加恋と一緒らしい。
私は今まさにクラスの扉の前に立っていた。
私は自己紹介を簡単にした。
もちろん事故にあったことも。
みんなは私が事故にあったことを何も言わずに聞いてくれた。
話終わった後、みんなは私に話しかけてくれた。
とてもとても楽しかった。
でも…
私達の前にまた敵がやってきた。
『よお。』
『…っ!』
そこにいたのは悠斗くんと美咲ちゃんだった。
『お前ら!』
『何しに来たのよ!?』
『お前らに話があってきた。』
は…なし?今頃?
『とりあえず場所を変えようぜ。』
私達は屋上へと向かった。
加恋と裕二の顔には緊張の色があった。
私は1人みんなと外れてゆっくりと歩いて行った。
そして私が屋上へたどり着いたときには裕二と加恋と悠斗くんと美咲ちゃんが睨み合っていた。
裕二は悠斗くんと美咲ちゃんを睨みながらこっちに来た。
そして私に『大丈夫だからな。』とつぶやいた。
『まぁまぁ。そんなに威嚇しないで。』
『…っ!誰のせいよ!!』
『あ?俺のせいだって言いたいのかよ!!』
『あんたが!!絢の大切な記憶を奪ったんだ!!』
『は?こいつが勝手に絶望してふらふら歩いて車と接触したんだろ?俺には関係ねぇよ。』
『……ないで。』
『あ?』
『ふざけないでよ!!
私にあなた何をした!?
蹴ったよね?殴ったよね?
わかんないでしょ!?
私だって人形じゃないんだから心ぐらいあるのよ!!
あんたが私を裏切っていじめて!
学校の時間だって!放課後だって!
いつだっていじめられないときはなかった!!
特に美咲ちゃん!!
あんたなんかに私の気持ちがわかってたまるか!!
本当に最低だね!!
私を騙してまで裕二といたかったの?
私を裏切って裕二と付き合って何が楽しかった?
あんたも私と同じ苦しみを味わえばいいんだ!!』
気づけば私は沢山の暴言を吐いていた。
『ふざけんなよ!!
もともと最低なのはお前なんだよ!!』
バキッ!
『っ!』
『絢!!』
お腹あたりに激痛が走る。
一瞬何がおきたかわからなかった。
『……うっ。』
痛い。
私は歯を食いしばって痛みに耐えた。
目に涙が浮かぶ。
私は顔を伏せた。
『あははっ。いい気味。』
一回も喋らなかった美咲ちゃんが喋った。
『絢っ!大丈夫か!!』
『裕二もさぁ。そんなやつのこと気にしなくてもいいからさ。
今から遊ばない?』
『あんた馬鹿?今なんて言った?』
『は?そんなやつのこと気にしなくてもいいからさって言ったの聞こえなかった?』
『行くわけないじゃん。今絢がどうなってるかわかってるでしょ?』
どうしよう。加恋を止めなきゃ。
このままじゃ大変なことになっちゃう。

