好きになっちゃダメですか?

絢side


潮の香りがする屋敷の屋上。

潮風に吹かれただただ遠くを見つめる。

ふぅ…さてこれからどうしようか。

私は屋上の淵まで行った。

そして腰を下ろした。

微かに波の音がする。

私はゆっくり目を閉じた。

ガチャッ。

誰か来た。

『はぁ…、ここにおったんか?』

『えっ?』

私を探していた人は悠斗くんだった。

『悠斗くん、何しに来たん?』

『お前を連れ戻しに来た。』

『悠斗くんは私が憎くない?』

『憎い?』

『美咲ちゃんから裕二を奪ったから。』

『別に…。』

『そっか…。』

『でも確実に美咲には嫌われてるぞ。』

『知ってる、殺されかけたから。』

『殺されかけた?』

『うん。』

『ごめん…。』

『謝らないで!死んでないから!』

『でも…。』

『大丈夫だよ、全部私が悪いんだから。』

『そんなことはない…ごめん。

俺はお前が…絢が悪者かと思ってたけど違ったんだな。

本当にごめんな。』

悠斗くんはそう言って私を抱きしめた。

『えっ…?』

『ごめん、俺…絢が好きだ。』

『うそっ。』

『ごめん。』

『答えは考えさせて。』

『わかった、じゃあ。』

『うん、ばいばい。』

あれっ?なんかドキドキする。

胸が暖かい。

なんか幸せ…。