好きになっちゃダメですか?

絢side


チュンチュン…。

鳥のさえずりが聞こえる。

うっすら目を開ける。

見慣れない部屋。

でもたった一つだけ見たことのあるものがあった。

ーー裕二と美咲ちゃんが抱き合ったベッド…。ーー

今まで眠っていたベッドが紛れもなくそうだった。

私は思わずベッドから飛び降りてしまった。

私は着地に失敗して派手にこけた。

『っ!ったぁ…。』

足を思いっきり捻ったようだ…。

そしてリビングの方から地響きがするような足音がこちらに向かってきた。

『絢っ!!大丈夫かっ!?』

びっくりした。

裕二か…。

って裕二!?

『だっ大丈夫…。』

私はあんまり裕二に心配かけたくなくて急いで立ち上がった。

でも捻った足があまりにも痛くてふらついて後ろに倒れるはずだった。

私は次に来る衝撃に備え、目をつぶり身を縮こませた。

でも案の定痛みは来なかった。

私がゆっくり目を開けると目の前には裕二の顔が…。

『絢…。さっきどこの口が大丈夫って言った?』

裕二の声が低くなった。

やばい、怒ってる…。

『この口です…。』

『なぁにが大丈夫だ!ぜんっぜん大丈夫じゃねぇじゃねぇか!』

『ごめんなさい…。』

裕二に怒鳴られた。

裕二に怒鳴られた。

裕二に怒鳴られた。

私は思わず俯いた。

すると裕二は

『怪我するとあぶねぇだろ?
いてぇんだろ?

ならちゃんと言え。

手当てしてやるから。』

『うん。』

私はリビングのイスまで裕二に抱きかかえられて行った。

私は自分で歩くよっ!って言ったらまた裕二の地雷を踏んだらしくすっごく睨まれた。

まぁ怖いもんだ。

裕二は私に優しく湿布を貼りほらと言いながら朝食を渡してくれた。

朝食は食パンに苺ジャムがたくさん塗ってあるものと、ココアだった。

私はゆっくりゆっくり食べて、食べ終わるのになんと1時間近くかかってしまった。

裕二は美咲ちゃんが好きなのかな?

なら、私はずっと裕二を縛っておくわけには行かない。

私はちょっとベランダに出ると裕二に言ってベランダで泣いた。

あれ?可笑しいやん。

うちは美咲ちゃんと裕二が幸せになって欲しいって言っとったんじゃけ別に悲しくなんかないはずじゃん!

何で泣いてしまうんじゃろ…。

私は自然に涙が止まるまでずっとベランダにいた。

今日は暑いな…。

蝉の声が聞こえる。

ちょっと五月蝿いな…。

でも私の目にはある人物が入った。

あれって…。

裕二に知らせよう。

私はベランダからリビングに入り今見た人物の名前を告げた。

すると裕二はくそっ!と言いながら外に出て行った。

やっぱり大事なんだ…美咲ちゃんのこと。

私はもう一度ベランダに出てさっき美咲ちゃんがいたところを見た、すると悠斗くんもいた。

私がジッっと見ていると悠斗くんがこっちを向いたから私は急いで部屋に戻った。

ねぇ、私って必要無くない?

今ってさチャンスじゃない?