絢side


あれ?暖かい。

まるでふんわりと包まれているかのように。

しかも規則的な振動がまた私を夢の世界に近づける。

懐かしいようなもどかしいような感情が出てきた。

ねぇ…、もうあの頃の裕二はいないの?

もう優しく抱きしめてくれないの?

もう優しくキスもしてくれないの?

全部全部嘘だったの?

……。

いや…、違う。

裕二は無かったことにしていない。

無かったことにしてるのは…、



私だ。

裕二はあの時からなんにも変わってない。

変わったのは…、

私なんだ…。

裕二は何にも悪くないんだ。

私がちゃんと裕二にいつまでアメリカにいるかを伝えていれば…。

私が携帯を壊さなければ…。

こんなことにはなってなかった。

ゼンブワタシガワルカッタ。

最低だね。

私のせいなのに…。

勝手に逃げて、裕二のせいにするなんて…。

『ごめんね…。ゆう…じ。』

私は夢のなかで呟いた…。