裕二side

絢っ。

絶対にお前の笑顔を取り戻す!!

俺は走った。

やっぱり絢が向かっていたのは…

海だった。

そして絢の周りには5人ぐらいの男と…

美咲がいた。

そして絢は5人ぐらいの男に囲まれていて、しかもほぼ下着姿だった。

ああ、こーゆー気持ちが…。

俺は今になって絢の気持ちが分かった。

でも、絢はもっと辛かっただろう。

だって俺と美咲だもんな…。

絢は5人ぐらいの男の下敷きとなり、まるで気絶してるんじゃないかと思うぐらい、ピクリとも動かなかった。

俺はムカついた。

そして絢のうえに乗っていた男達を全員殴った。

それだけで男達は逃げて行った。

絢はゆっくりと目を開けた。

そして何も映っていない瞳で俺を見た。

そしてゆっくりと起き上がり残った服で極力肌を隠していた。

ここにいるのは俺と絢と美咲だけ。

沈黙の中美咲が口を開いた。

『ゆぅじ!
この泥棒さんね、私にゆぅじをくれるんだって!
この泥棒さんね?ゆぅじのこと嫌いなんだって!』

『ははっ。人を物みたいに扱うなよ?
別に絢が俺のこと嫌いでも関係ねぇし。

お前みたいな汚い奴に乗り換える気もねぇよ。』

『はぁ…、裕二。
今更なに言ってんの?
あんなに愛し合ってたじゃない。

私の事なんか早く忘れて、美咲ちゃんに乗り換えなよ。』

絢は冷たくそう言い放った。

『ほらね?ゆぅじに私と生きる道以外残されてないの。』

『お前と生きる道以外無いだと?
……ははっ。

馬鹿だな。

道が無ければ作ればいいだろ?』

『………ごめんね。

元々私のせいだよね。』

絢は3年ぶりに涙を見せた。

『私が携帯を壊して、連絡できなかったからだよね。

あとアメリカから帰国する日を伝えられなかったからだよね。』

でも、絢の瞳に相変わらず何も映って無いし、光すらなかった。

『絢…。お前のせいじゃない。

俺が絢を信じきれなかったからだ…。』

『私ね、やっと帰れるって飛行機に飛び乗った。

そして加恋に連絡してもらったの…。

でも裕二から返信が無かったから、加恋がこれで驚かせて来なって鍵をくれた。』

そっか…だから鍵を持ってたんだ…。

『でもね…。

私、見ちゃったから…。

本当はこのリングと置き手紙を置いて出て行くつもりだった。

でも…、足が動かなかった。

しかも全身の力が抜けていって鞄を落としちゃったの。

それで裕二が起きて、私の名前呼んだから、嬉しいはずなのに…。

なぜか拒否反応がでて吐きそうだった。

だから急いで裕二の家から飛び出して加恋の家に駆け込んで加恋に断って何回も何回も…吐いた。

辛かった。

裏切られたんだって。

あの約束もあのキスも嘘だったんだって思って、私は自然と涙と笑顔を見せなくなって、やがて失った。』


絢はずっと泣きたかったんだ…。