すっと涙が頬を伝った。
だめよ、絢。これ以上ここの人を困らせてはいけない。
と私は私自身に語りかけた。
でも涙は止まることなくどんどん溢れてきた。
視界がどんどん歪んでゆく…。
裕二…勝手にいなくなってごめんね…
でもちゃんと加恋を守ったよ…。
いつかまた逢えるといいね…。
私は心の中で裕二にそう語りかけた。
でも、涙は止まらない。
誰も助けにこない。
でもそれで美咲ちゃんが幸せなら私は身を引くよ…。
裕二も早く私を忘れて幸せになって。
私は裕二と美咲ちゃんの幸せを願った、でも心がズキンッと痛くなった。
『裕二…、私どうすればいいの?
美咲ちゃんの幸せを願いたいけど……、裕二を取られなくないよ…。』
私は小さく呟いたから碧さんには聞こえてないと思った。
でも碧さんは『絢様は素直すぎるのです。もっとワガママとか言ってもよろしいかと思います。』
『でもね…、美咲ちゃんが幸せなら…『だったら裕二様はどうなるのですか?』』
『え?裕二…?』
『裕二様は絢様が好きなのに、無理やり美咲様と一緒になるのは辛いと思います。
裕二様は美咲様より絢様を選ばれると思います。』
『っ!でもっ!誰も助けに来られないでしょう?私は死ぬまでここから出られないんでしょ!?だからいない私より美咲ちゃんの方がきっと幸せになれるからっ!』
『だから裕二様はきっと…いや絶対に助けに来られるでしょう。』
『本当に…?』
『本当の本当です。』
『ありがっ…』
ガチャッッ。
バンッ!
『えっ?』
私と碧さんはドアの方を向いた。
するとそこには花園さんが立っていた。
『いやぁ…、絢さん。
話は全部聞かせてもらいました。
本当に、裕二くんのところに行きたい?
』
『はいっ。行きたいですっ!だって私の大事な大事な人だから…』
『分かった。それなら知人に連絡してみよう。』
『ありがとうございます。』
『いやいや。君は本当に愛に似ているよ。』
『愛さんは私の双子の姉かもしれません。』
『うん。聞いていたよ。』
『でも、私何も知らないからどうも出来なくてごめんなさい。』
『いいんだよ。あとは任せてくれないか?』
『お願いします。』

