裕二は私が泣き止むまでずっと優しく涙を拭きながら抱きしめていてくれた。

大丈夫だよね?今、ここに私の居場所があるもんね…?

私…もし裕二を無くしたらどうしよう?

多分立ち直れないな…

とか思っている時に雨が降り出した。

裕二は傘を買ってくると言って何処かに行った。

私は雨宿りもせずただずっと突っ立っていた。

すると…

『よぉ?みんな心配してるようだな』

私はその声で凍りついた。

『おいおい。別に殺しに来たわけじゃねぇーよ。

ただお前に交換条件を告げに来ただけだよ。』

『……。』

『お前は加恋ってやつが大事だろ?』

『あんた加恋の居場所を知ってんの?』

『ああ。知ってるよ。教えて欲しいならついてこい。』

『ちょっと待って!私が付いて行ったら加恋は解放してくれる?』

『ああ、さぁどうする?』

『分かった。付いていく。』

『ふっ。そーゆーと思ったぜ。』

裕二ごめんね。

ちょっとだけ離れ離れになるけど、加恋をよろしくね…。

私は雨のせいで重くなった服の裾をギュッと掴みゆっくりと悠斗くんの後ろをついて行った。

私もまだ知らなかった。

本当の地獄はここからだったということに…。