好きになっちゃダメですか?

絢side


あの後裕二達がまた悠斗くんたちを懲らしめてくれたから当分は来ないだろうと言っていた。

でも、あの裕二が自分を責めたような顔をしていたのが忘れられなかった。

だから私は大丈夫だからって言って笑った。

でも裕二の顔に笑顔が浮かぶことはなかった。

何故かとても悲しくなった。

最近、私が裕二に何かを言っても上の空でぼぉっとしている。

私といるのそんなに楽しくないのかな?
私のこと嫌いになったのかな?

私の考えはどんどんネガティブな方向に向かってゆく。

最終的にもう、別に話しかけなくてもいいんじゃないかって思ってきた。

あれから加恋は家に帰ると言って帰ったままここには来なくなってしまった。

敦兄もあまり顔を見なくなった。

裕二…もう好きじゃないのかな?

私はずっと病院にいられればいいのにと思った。

でもそんなことできるはずはなくあっと言う間に退院の日が来た。

私は最後に裕二と話すことにした。

『ねぇ、裕二。

裕二は私のこと嫌い?

もう私のことなんかどうでもいいって思ってる?

誰か他の人のこと好きになった?

誰のこと考えてるの?

あなたの目には誰が映ってるの?

私…考えたの。

裕二が私のこと好きじゃないなら私別に裕二が嫌ならもう別れたくないなんて言わないから。

だから……さようなら。』

『絢?おまっ……』

私は裕二の言葉を最後まで聞くことなく走って病院から出て街を走り抜け家に帰った。

後ろから裕二の声がしたけど無視して走った。

だって振り返ったらきっとあなたに抱きついてしまうから。

きっとまだ別れたくないって言ってしまうから。

だから…笑ってさようならを言えるようにしたんだから。

でもどうせ学校で会うだろうな…。