わがまま即興曲。

おかげで、

「あのー…点滴ずれてるっぽいんですけど…」
「あ!!!すみません!ごめんなさい!
今すぐ直します…!」
「なんか…こっちこそ、ごめんなさい…」

私の部屋に来る看護師は
ママがいないときでも完全に怯えきっている。


そうかと思えば、

「なにか、してほしいことはありますか?
車いす持ってきましょうか?」
「いえ、自分で歩けるので結構です。」

ニコニコと張り付いたような笑顔で、
私の機嫌をとろうとする看護師もいる。


…はあ。

ママは、私が病院で居心地が悪いと感じてると
気づいてないんだろうなあ…

居心地が悪いなんていったら、
また病院にクレームをいれるんだろうし。
そうなったら逆効果だし。

だから、入院は嫌いなんだ。


「…はあ。」

「血圧を測りに来ました。」

「進本さんだけが救いだよー!」

「右腕を出してください。」

怯えも媚もせず、
無表情で淡々と仕事をこなす進本さんが一番いい。

最初は怖かったけど、
無表情ってだけで、怒ってるわけじゃないし、
さりげなく優しいから、

小児病棟に入院していた時から、
私は一番お世話になってる。