「………え?」

私が患者だってことを忘れる?

先生は、医者なのに?
私の主治医なのに?

「だから、珍しく元気のない彩音さんを見て、
焦っちゃってさっきはついあんなことを…
すみません…医者失格ですよね。」

「そんなことない!!」

「彩音さん?」

「あっ………えっと…
さっきは叩いちゃってすみませんでした…
悪いのは私…なんで、謝らないでください。」

先生は医者失格なんかじゃない!
って言おうとしたけど、
急に恥ずかしくなってしまう…


「…ありがとうございます。」

そんな私を見て、先生は優しく笑ってくれる。

…っ!!

その笑顔に、一瞬、ドキっとしてしまった。


「…さっきの言葉、ちょっと嬉しかった。
こっちこそ、ありがとう。」

やっぱりこの先生には勝てないなあ…
そう思ってしまう。

私は負けは認める主義なのだ。


恥ずかしいから、半分、布団に潜りながら言う。



「あんたが主治医で…よかった。」