「なんですか?」

聞いてみる。

「お前、すげえじゃん!」

褒められた。
だけど、私は褒められるようなことをした覚えはない。

「なにがですか?」

また聞いてみる。

「初回の授業でやったテストだよ!
俺、あれで満点のやつ、はじめてみた!」

ああ。
あのテストね。

谷中先生の担当教科は日本史で、
初回の授業の時にテストをした。

内容は昔の地名テスト。

私は病気のため、入院したり、家で寝てなきゃいけないことが多い。
しかし、幸いにもそれは本を読む時間が多いということだ。

おかげで私はいままで沢山の本を読んできた。
歴史小説もわりと読んでいたので、
昔の地名は全部把握していたのだ。


…それってそんなに凄いことだったんだ。


私は実感がなくて、驚いていたけど、


「お前みたいな、凄い生徒が今年はいるんだと思うと、教えるのが楽しみになるな!」


先生はそう言って褒めてくれた。