目が覚めて最初に見たのは、
心配そうなママの顔。

「あやちゃん!?大丈夫?
いま、先生呼んでくるわね。」

私、どうしたんだっけ…?

ここは?

白い天井。
この固いベッド。

病院か。


ええっと…

熱出して。
テストを無理矢理受けて。
病院来て…

ああ。
そうだった。

…先生、呼ばれるのか。
気まずい…
嫌だな。



そう思っていたところ、
静かな足音を立てて現れたのは、
先生ではなくて、
看護師の進本さんだった。

「あ、進本さん。
お久しぶりです!」

進本さんは私が小学生のころから、この病院で看護師をしている。
私は彼女のことを結構気に入ってるんだけど…

「谷中先生は今、ちょっと手が離せませんので。
お加減はどうですか?」

私の挨拶を無視して淡々と機械的に話す。
余計なことばかり言って機嫌とろうとする看護師よりも進本さんは、
よほど好感が持てるのだ。