「めずらしいって何がですか?」

何のことかわからないから聞いてみる。

「あの子が、
自分から病院にくることなんて、
今まで一度もありませんでした。」

あの子とは、彩音さんのことだろう。

「そうなんですか?」

僕はあんまり好かれてなさそうだから別だけど、
北川先生にはなついてたんじゃないのかな?

「………………」

黙る進本さん。

え?

なんで黙るの?

「あのー…」

怖いから黙らないでほしいんだけど。

「どんなに苦しくても、
我慢する子ですから。」

ああ。
たしかに。

…だからか。

誰にも心配かけたくないから、
病院にも来ないで、
一人で我慢するんだね。

彩音さん…
君は、どうしてそんなに強いんだ。